癒し効果を生むフィトンチッドの「主成分」がIGF-1を増やす
猛暑が続いた今年の夏もようやく終わり、外出が楽しみになる気持ちのいい秋がやって来ました。そこで私が皆さんにおすすめしたいのは「森林浴」。樹木の多い高原などをハイキングする、あるいは山登りでもいいと思います。
私が森林浴をおすすめする理由は、抜け毛・薄毛予防に効果があり、発毛・育毛に期待ができるからです。では、なぜ森なのでしょうか?
皆さんは森林に「フィトンチッド」という物質があり、それが原因になって「森林浴に癒し効果がある」といった話を聞いたことはありませんか? フィトンチッドはロシア語の造語で、フィトン=植物、チッド=殺す、という意味。植物によってつくられる、害虫などを殺す物質を指します。
ちなみに、わさびにも含まれていて、IGF-1を増やす性質がある「6-MS芥子油」という成分も、わさびの茎が害虫によって傷つけられるのを防ぐためにつくられるもの。害虫を殺す(あるいは遠ざける)作用があり、フィトンチッドの一種であると考えられます。
薬用育毛ローションにも使われる「ヒノキチオール」
フィトンチッドの主な成分は「テルペン」という物質で、樹林の中に多く存在しています。すがすがしい気分にさせてくれるヒノキの葉の香りは、50種類以上のテルペンからできていて、その中の代表的な物質に「ヒノキチオール」があります。数多くの歯磨き剤や抗菌剤に用いられているので、ご存じの方も多いでしょう。
実験の結果、このヒノキチオールには知覚神経を刺激する作用が認められました。ということは、ヒノキチオールには抜け毛・薄毛予防に効果がある、IGF-1を増やす効果があるというわけです。事実、育毛作用があることがわかっており、ヒノキチオールを含む薬用育毛ローションも販売されています。
というわけで、森で時間を過ごすことが抜け毛・薄毛予防に効果がある理由は、ヒノキチオールに代表される「テルペン」という物質の存在にありました。
そして森には、もう一つ知覚神経を刺激する物質があることがわかっています。これも皆さんにはおなじみの名前のはず。
森林浴をゆっくりしたい方はサマースクールやキャンプがオススメです
IGF-1増加の効果をもたらす、もう一つの物質は「オゾン」
森に存在する、知覚神経を刺激するもうひとつの物質。それは「オゾン」です。
オゾンは、酸素が紫外線の作用を受けることや、植物の光合成の結果つくられるもの。強力な酸化作用をもっており、除菌のほか、脱臭、有機物分解などの効果があります。オゾン層、オゾンホールといった用語もありますから、ご存じの方は多いですよね。
ところで、酸化反応は人間の老化や発がんの要因になると考えられています。その一方でオゾンは、このページで先述したように知覚神経を刺激する作用も持っています。
するとどうなるでしょうか? オゾンは知覚神経を刺激するのですから、人体の中にIGF-1を増やしますよね。実はIGF-1には、抗酸化作用がある酵素を増やす働きがあります。オゾン自体に酸化作用がある一方、オゾンが人体を刺激して増えたIGF-1が生体の抗酸化力を高めるのです(ちなみにこうした現象は医学の専門用語で“生体防御反応”といいます)。
このようなメカニズムでオゾンは全身のIGF-1を増やし、結果として抜け毛・薄毛を予防し、発毛・育毛を促すと考えられるのです。
この秋は、ぜひ森で森林浴を
知覚神経を刺激してIGF-1を増やす作用がある、テルペンとオゾンがある森。小さな虫にとって、この2つの物質は有害ですが、人間には適度な刺激となるようで、IGF-1を増やす作用につながるようです。
連日猛暑だった今年の夏は、特に頭皮や毛穴に汚れ、皮脂がたまりやすかったかもしれません。ましてこれからの季節は、抜け毛が増えるといわれる秋です。その意味でも、今年の秋の行楽シーズンは、ぜひIGF-1を増やしてくれる場所、森へ足を運んでみてください。テルペン、オゾンを浴び、気分、頭皮とも爽快な時間を過ごしていただくことを願っています。