人工毛植毛とは |
ご自身の髪の替わりにナイロンか化学合成繊維で造られた人工毛を頭頂部や前頭部など薄くなった部分の頭皮に埋め込む方法です。
この植毛術が始まった頃は、すぐに抜けたり、頭皮が感染症を起こしたりとクレームが続出し全国各地で「被害者の会」が結成され社会問題にもなりました。皮膚というのは、外界に対する生体のバリアです。その防御壁(バリア層)を突き破って異物が体内に入るわけですが、人工毛は身体からみればそれが同化して生体の一部になるわけではなく、あくまで異物として存在します。しかも頭皮に植え込んだ部分は頭皮に40種類も生息していると言われている皮膚常在菌などいろいろな雑菌やバイキンの侵入口にもなってしまう事が多いのも事実です。 感染を起こして抜けてしまうだけならまだ良いのですが、植えたときに頭皮の中に固着させるための工夫が施されているので、個人によっては人工毛が抜けないまま感染が続く事がありますので要注意です。
人工毛植毛のデメリット |
私どもにいらっしゃる薄毛の方で目を覆いたくなるような無惨な頭皮の状態で来店なさる方がいます。その方々は皆さん全員が「人工植毛」をなさった方です。
人工植毛とは頭皮にナイロンか化学合成繊維によって造られた人工毛を埋め込み、あたかも頭皮から自分の髪が生えているかのように見せかけるものですが、本物の毛髪の毛根にあたる部分が
①球状になっているもの
②V字型になっているもの
③輪になっているもの
などがあります。 いずれのも毛根に当たる部分を頭皮に埋めこみ、固着させます。 ほとんどの場合、300本程植毛して2~3日経過した頃から、植毛した部分が猛烈なかゆみに襲われ、かきむしった部分が炎症を起こし、化膿しております。
結論から言います。
「植毛」はお金と髪と健康を失いますので、今の段階ではなさらない方がよいと思います。 多くの方々が植毛した毛も、それまでまだいくらかあった自毛までもすべて失ったにもかかわらず、ローンだけが残り泣きながらそれを返しているというのが現状です。
毛髪は、頭皮であればどこでも構わず生えているというものではありません。
全ての髪の毛は毛穴からしか生えてきません。毛穴と毛髪の間には、毛根をすっぽりと包み込むような形で毛包が存在しています。毛包の最も大切な機能としては、まず第一に外部からのあらゆる刺激を緩和し、雑菌や異物が体内に侵入しないように阻止し、毛乳頭と毛母細胞が絶えず正常な働きを維持できるようにしています。
仮に毛包がない事を想定していくつかの問題点を挙げてみます。
① | 外気温が冷えてくると毛髪自体の温度が下がり、低下した温度を毛髪が伝導し直接、皮下組織を冷やしてしまいます。 |
② | 逆に、外気温が高いとその温度で皮下組織の温度を上昇させてしまいます。 人間の体温は36度を中心に、下限35度上限37度以内で生理機能が安定して作動します。頭皮もこの温度の範囲を越えてしまうか、又は低下してしまうと、酵素の持つ触媒作用が低下し、毛乳頭や毛母細胞といった髪の毛の製造工場に当る組織の働きを低下させてしまいます。 |
③ | 当然、他の正常な毛髪の生成、生長にも影響が考えられます。 毛包が無いという事は、防御壁としての役目も無いわけですから、あらゆる刺激を受けやすく、毛穴から体内への雑菌の侵入も阻止する事ができず、炎症や化膿となって現れます。 これらは、何かの拍子に手などの皮膚にトゲが刺さり、その部分が炎症や化膿を起こすのと同じと言えます。そのために雑菌の温床になりやすいキューティクルのある人毛を避け、人工毛を植毛するようになったものと考えられます。しかし毛包がない限り、皮膚の中に異物が入れば、人毛であれ人工毛であれ身体からみれば、どちらも「トゲ」が刺さっているのと同じ理屈で、この部分が毛穴だった場合は、新しい髪の毛の発毛をはじめ今ある髪の毛さえも正常な状態でハリのある髪に育てる事がともに困難になります。日常何気なく行っているブラッシング、整髪、洗髪、カット、パーマ等の施術、くせで毛髪を触る、毛髪を引っ張る等々…これらは全て毛根に負担をかけている事になります。特に毛の流れに逆らって毛髪を動かしている時は、更にその負担は増大します。 |
この様な状態が常に繰り返されていると、大抵の毛は抜けるか途中で切れてしまいます。 その例として、乳幼児、寝たきり老人の後頭部や側頭上部の脱毛、切れ毛がありますが、健康な髪であれば、通常はこの程度の負担では異常は起こりません。これらは、毛包が持っているクッションとしての緩衡作用が固着力と復元力を保っているからこそです。